本研究は、駅を中心とする地区の設備計画において、本来の機能になかった日常生活関連施設の鉄道駅への導入のあり方について検討したものであり、基本的に3つの内容で構成されている。まず第1は、駅周辺の土地利用、駅利用形態、駅施設状況の3観点から駅を類型化し、各類型間の関連性を把握した上での総合的な観点による駅の類型化である。すなわち、大規模駅2グループ、ベットタウンなどの郊外型5グループおよび特殊駅2グループの9グループに分類出来ることを明らかにし、それぞれの特徴について詳細に論じている。次いで、都市近郊の住宅地に存在する駅を主たる対象にして、駅および駅周辺を設備する際の重要な要素である駅の乗降人員の予測について検討している。換算距離差、バスなどによるアクセス利便性による駅における交通目的別発生、集中駅勢圏を推定するモデルを開発し、また、駅勢圏内の社会状況、交通サービス状況、土地利用などにより、駅の乗降人員を予測するモデルを構築するものである。最後に、駅の類型化の結果に基づいて駅利用者と各地域との親密性が強いと思われるグループから対象駅を抽出し、コンビニエンスストアなど駅への日常生活関連施設の導入についての駅利用者による意識調査を行い、その結果と先の乗降人員予測モデルを用いて施設導入後の利用者数を予測するモデルを構築している。また、これらの内容を具体的な駅に適用し、それらにおける日常生活関連施設の導入のあり方について論じている。 |